
Hiawata!インタビューの冒頭でもふれたSellOut! Musicを切り盛りする若干25歳のレーベル・オーナー、André J. Ishakからの返信メールで目にしたのは、音楽と人がいかにつながり、人生に選択肢を与えてゆくかというシンプルな事実だった。SellOut!はAndréが育った環境ばかりか出会った音楽、それを共有できる仲間の存在によって必然的に生まれたとしか言いようがないほどストーリーに満ちたレーベルだ。今回はレーベル・インタビュー初回ということで、思いつく限りの質問を彼に投げかけてみたが、臆せずにひとつひとつの質問に丁寧に応えてくれたAndréに心から感謝を表したい。さらに、インタビューの最後には意外な事実が判明する!
Interview with André J. Ishak from SellOut! Music
あなたがレーベルを始めたきっかけについて教えてください。Sellout!ではノルウェーだけでなく、他の国のアーティストもリリースしてますよね。
まだ十代でキッズだった頃、僕はD.I.Y.なパンク/ハードコアシーンに入れ込んでたんだ。自分みたいな人たちがアルバムをリリースしては世界中をツアーできてるって事実に驚いてね。 Beezewax の一番最初のアルバムをリリースした地元のハードコア・レーベルLaNuGo Recordsとか、僕が来るような小さい町にも届いたBRAIDやバーニング・エアラインズみたいなバンドに強烈にインスパイアされたよ。
僕はできるだけ良いかたちで国際的な音楽シーンの一部となって貢献したかった。それにさ、SellOut!を始めた時、何がパンクでどれがパンクじゃないか議論するパンク/ハードコア・キッズに少々うんざりしてたというのもあって、(レーベルを) セルアウトって呼ぶようになったんだ。僕はポップスをメインにリリースしてるしね。(笑)それとはまた別に僕は、アメリカのPopKid RecordsやスウェーデンのChalksounds、スーパーチャンクが運営するMerge Recordsという3つのレーベルに多大なインスピレーションを受けた。

レーベルとしての最初のリリースはどういうものでしたか?
レーベルからの初リリースは僕の兄 Kenneth Ishak の1stソロ・アルバム『North Exposure』だよ。これは彼の最新アルバム『Silver Lightning From A Black Sky』(Thistime Records盤)のボーナスCDでフィーチャーされている。それは素晴らしいアルバムなんだ。それに、このアルバムは両親の住む実家でレコーディングされたもので、僕も録音にはかなり携わったからとても愛着があるんだよね。

その当時、あなたもKennethのようなミュージシャンになりたいとは思わなかった?
実際、僕は人生の大半、音楽をプレイしてはきたけど、兄ほど真剣にはやってないんだ。時間が許せば、来年にでもアルバムをリリースしようと計画中だよ。 The Haikus という僕のプロジェクトでね。この名前はバッファロー・トムの”it’s just an other haiku, to say how much i like you”という歌詞からとったんだ。
何となくオスロはJazzlandやSmalltown Supersound、Rune Grammofonなどジャズやエレクトロニック・サウンドを持ち味とするレーベルへのイメージが強いのですが・・・。あなたのレーベルに所属するようなギターバンドは結構珍しいのでしょうか。
エレクトロニック・ミュージックやジャズをやってる凄いレーベルがオスロにあるのは事実だよね。でも、それと同じぐらいここではインディーポップ・シーンが百花繚乱で、そのシーンの一部として存在できてる自分は十分ラッキーだよ。それに僕自身、Smalltown Supersoundと彼らの仕事にはとてもインスパイアされた。彼らは驚異的なレーベルだし、真のインスピレーションでもある。
Smalltown Supersoundのどんな点に惹かれますか?
彼らがデザインやさまざまなサウンドを通してクオリティやレーベルのアイデンティティに重点を置いてるところだよ。ジャズのサブ・レーベル(Smalltown Superjazz)を始動した点でもね。
ロゴのデザイナーはあなただそうですが、SellOut!のアートワークに何か(カラーというか)考えはありますか?
アートワークに関してはほぼバンド自体によりけりだね。僕がカバー・デザインを手がけるThe Sellout! Cover Sessions EPsを除いて、ほとんどみんな同じように見えるだろうけど、カラーの中にヴァリエーションがあると思う。
ビジネスパートナーであるHoaTranはどんな人物なんでしょうか。あなたの友人?
ビジネスパートナーに加わったHoa Tranは僕の一番古い友人なんだ。僕らは子供の時から音楽に興味を持っていて、彼は僕が愛してやまないリプレイスメンツやポール・ウェスターバーグへの思いを共有できる唯一の奴。────年齢は25歳で、両親はベトナム出身だよ。
Hiawata!とはどういう経緯で契約となったのでしょうか。彼らのプロデューサーであるKennethと何か関係はありますか?
僕らは数年前にHiawata!からデモ音源をもらって出会った。それに、ただ気が合ったんだ。彼らは僕らと同じぐらいダイナソーJr.とレモンヘッズが好きで。このことがきっかけで実際、プロデューサーのKenneth Ishakと引き合わせたのが僕らだった。彼らはKenneth IshakとBeezewaxの大ファンだし、Kennethの方はたぶん、Hiawata!のような音楽性のバンドをプロデュースするにはノルウェー、いや、ヨーロッパで一番適任な人物だと思うよ。

日本へのマーケット拡大は考えてますか?
うん、僕らはHiawata!の他、今後の日本でのリリースに関して良いレーベルが見つかるよう望んでるよ。
レーベルの今後のリリース予定と目標があれば教えてください。
まず最初にアップされるのが、今度のHiawata!のアルバムから先行リリースのフリーmp3シングルで、そのあとすぐHiawata!のアルバムが発売されるよ。次にノルウェー出身のエレクトロ・デュオ、 Munn Til Munn Metoden のフリーmp3シングル/EPをリリース予定。彼らはダフト・パンクとラタタットの折衷みたいに聞こえるんだ。とても有能な若い連中でね。その後に僕たちは1997年に出たBeezewaxのデビューアルバム『A Dozen Summits』をリマスタリングしたリイシュー盤をリリースするつもりだよ。このアルバムは10年間絶版状態だったから、再び店頭で見られるようになるのはいいことだよ。それから、その後のことは本当に未定で。いくつか思うところはあるんだけど、はっきりしたことは何ひとつないんだ。
現在注目しているアーティストやレーベルはありますか?
そうだね、スウェーデンのNomethod Recordsはすごく良い作品がリリースされてる超グッド・レーベルだよ。チェックしてみて!
Nomethod Records!あなたが影響を受けたChalksoundsと同じウメオにあるレーベルですね。
Nomethodを担当してるのは、実際、Chalksoundsを始めたのと同じ人物なんだ。彼は偉大な奴だし、素晴らしいレーベルだよ。(2009年2月2日・26日)
まさかChalksoundsを運営していた人物が今のNomethod Recordsのオーナーとは思いもよらなかった。その情報だけでも収穫だった今回の取材だが、実はとっておきの後日談がある。このインタビュー記事で使用できるポートレイトがないかAndréに問い合わせたところ、「自分の写真でちょうど良いのを持ち合わせてないんだけど、ここにNomethod Recordsを運営してるMagnus Öbergが今年のBy:Larmで僕とHoaを撮ってくれたのがあるよ」と教えてもらったURLの写真の使用許可を求める際、Magnus本人とコンタクトをとることができたのだ。もちろん、次のレーベル・インタビューは彼、Nomethod Records のMagnus Öbergを予定している。
