
どういった経緯で映像(兼アニメーション)監督になろうと思ったのでしょうか。
2003年にMAグラフィックデザイナーとして大学を卒業したんだけど、大学を振り返る当時ですら、僕はグラフィックスやアニメーション、そして何よりフィルムを動かすことへの興味が日ごとに増してて尽きることがなかったんだ。
僕にとってミュージック・ビデオは理論上、ちょうどイラストに似ている。音楽や歌詞がもたらす芸術の断片を汲みとって、そこからさらに特別な要素を加えてイメージを創り出すというか。歌詞にあるイメージをそのまま説明するんじゃなくて、文脈をこじあけてでも結果を別のレベルへ引き上げるようなパラレル・アクションを見つけることが、むしろ重要なんだ。
それはとても興味深い意見ですね。もしよければ、その方法で今まで最もうまく実践できたシーンを教えてくれませんか?さらに説明を加えてもらえると嬉しいです。
そうだな、Liamが誕生日パーティーのキャンドルに火を点けてテーブル・セッティングをしてる間、“Let the Funeral start”と歌っているLiam Frostのビデオのワンシーンが良い例だと思うよ。その映像や音楽、歌詞が一体となって意味的に新たなレベルを切り開いている。
※Liam Frost 「The Mourners of St. Paul」の視聴はこちら
別の例だとKarin Turessonの「Fel eller Rätt」というビデオの設定。生死や善悪という大きなテーマについての歌詞(スウェーデン語)なんだけど、曲はとてもシンプルでナイーブな物腰で歌われている。だから僕は彼女に古い教会で掃除をしながら歌を口ずさむ女性を役柄にした服を着せたんだ。ドラマが問題から離れることで、フィルムに美しくて静謐な印象を与えている。
3番目の例は“High on You and on Drugs”と女の子に歌っている最中、ヴォーカルのMarkusが昼頃デートに来たカフェでふるまおうとしているLaaksoのビデオ「High Drama」。このビデオは歌詞に合わせて、明るいライトを浴びる彼の内面のドラマと外の厳しい現実を違ったレベルで切り替えているんだ。
レーベルを設立したり、フィルムを撮り始めた経緯について、もう少し詳しくお聞かせください。
アート・スクールに入学した当時、僕はウプサラという小さな町からストックホルムへ引っ越した。都会で自分の居場所を見つけるのはしんどかったけど、どんどんやれるプロジェクトがあれば自分の存在や行動も正当化しやすくなると考えたんだ。それで、僕とウプサラからの友人グループはバンドでツアーを始められるよう共同体となった。クラブを手配したり、レコードを出したりするようなね。
当時の僕はそんな意義深いと思えるプロジェクトに全力を傾けられるぐらい若かったよ、そこではお金なんてまるで稼げなかったけれど。それにまあ、一日あたりの収入を気にかける必要もない学生だったからこそ、こうしたことに費やせる時間が有り余ってたというか。で、結局のところ、今となってはその数年間が実際、後のプロのとしての仕事に良い基盤となっていたことが分かる。僕は今も自分の時間の4割は曲作りやツアーに費やしているんだ。
Flora & Foanaのために撮った処女作はどんなものでしたか?
Flora & Foanaに作った一番最初のビデオはたぶん、Good Peopleコンピレーションの1stに収録されているSlummerの「Det blir Morkt」っていう自作のうちの一曲を撮ったものだと思う。でもそれは正式にはリリースされてないんだ。そして2001年には学校の卒業課題があって、そこで撮ったのがModer Jords Massivaの「Spider and Fly」というビデオだった。このフィルムはかなり注目を集めて、多くのフェスティバルやフォーラムで上映された。
※Moder Jords Massiva 「Spider and Fly」の視聴はこちら
Flora & Fauna以外で僕の初のプロとしてのビデオは、2005年にリリースされたJenny Wilsonの「Summertime?the roughest time」。この作品がきっかけで、ロンドンの“Love”というエイジェンシーでブリティッシュ・バンド(Vega 4と Liam Frost)にかなりの予算をつぎ込める仕事をもらえたんだ。ただ、Loveはそれ以上何も言ってきてはないけれど。
※Jenny Wilson 「Summertime?the roughest time」の視聴はこちら
Slummerという音楽活動もされてたそうですが、それも含めて現在までのあなたの音楽活動はどんなものなんでしょうか。

今、僕にはいくつか同時進行している音楽活動がある。Slummerは1994年から2007年までModer Jords Massivaというグループにいた時のサイド・ソロ・プロジェクトだよ。その名義でコンピレーション何枚かと12インチと7インチのシングルを1枚ずつリリースしている。Moder Jords Massivaではアルバムも4枚出しているよ。
今現在は“Joxaren”というソロ・プロジェクトに取り組んでいて、これはスカンジナビアのSkweee(スクウィー)っていうエレクトロの一種をプレイしてるアナログ・エレクトロ・ファンクな音楽活動。このプロジェクトではFlogsta Danshallレーベルから音源をリリースする。それから僕はサックスとキーボードを演奏するライヴ・ミュージシャンとして、元Moder Jords Massivaのメンバーでエレクトロ・ポップ・アクトのParkenとツアーをしている。
最後にもうひとつ、セネガルとガンビア出身の奴ら何人かとDjuloっていう西アフリカンなクロスオーバー・プロジェクトも進めているよ。リリースはまだされてない。
ミュージシャンがビデオ制作することにはどんな利点があると思いますか?
それは大きな強みだと思う。リズム感があれば良い編集をしやすいし、音楽を全くやってない人よりは多少違うレベルで曲を聴いてるとも思うから。
基本的に、好きじゃない音楽やミュージシャンのためにビデオは撮れない?
リスペクトしてない音楽のためにビデオを撮るのは、かなり難しいよ。
インタビューはまだ続きます。
→David Gieseインタビュー vol.3 PV制作の現状に迫る
